マネーフォワードモール編集部 | 2019/05/13
知っていないと損をする⁉ 仮想通貨のスプレッドとは?
仮想通貨取引をおこなっていると「スプレッド」という言葉をよく目にすることがあるかと思います。仮想通貨の取引で利益を得るためには、安く購入して高く売却することが基本ですが、より安定的に利益を得ようとする場合はスプレッドを意識することも大切です。
「スプレッドという言葉はよく目にするけれど、意味まではよくわからない」
この記事では、そんな方を対象にスプレッドとはどのようなものかをわかりやすく解説します。スプレッドに関してきちんと理解しておかないと、不利な取引をしてしまう可能性もあるため、是非ご確認ください。
スプレッドとは?
仮想通貨やFXなどの取引でよく目にする言葉の中にスプレッドというものがあります。「広い」「狭い」と表現されるスプレッドですが、一体どのようなものなのでしょうか?
実は、このスプレッドについて理解していないと仮想通貨取引をする際に不利な取引をしてしまうことがあるかもしれません。まず、スプレッドの意味や仕組みを解説します。
スプレッドとはどのようなもの?
スプレッドとは簡単に言うと、仮想通貨交換業者を利用して仮想通貨を購入する価格と売却する価格の「差額」のことです。
仮想通貨交換業者のサイトを見ると、「購入する価格」と「売却する価格」の2つが一緒に表示されています。
上の図(DMM Bitcoin/2019年1月時点のスプレッド)におけるスプレッドは、以下の計算式で求めることができます。
購入する価格/ASK(買)-売却する価格/BID(売り)
=差額(スプレッド)
上の図では、ビットコインを購入する価格と売却する価格が以下のように設定されています。
・購入する価格が1BTC=39万5,014円
・売却する価格が1BTC=39万4,314円
(BTCはビットコインの単位)
これらを式に当てはめると以下のようになり、このときのスプレッドは727円です。
395,041円(購入する価格)-394,314円(売却する価格)
=727円(差額)
スプレッドは仮想通貨交換業者によって違う
スプレッドについて紹介をさせていただきましたが、なぜスプレッドを理解していないと不利な取引をしてしまう場合があるのでしょうか。その理由は、仮想通貨交換業者によってスプレッドが異なる点にあります。スプレッドは、常に同じ数値に設定されているわけではなく、変わり続けることが特徴であり、ビットコインとイーサリアムでは異なるなど、仮想通貨の銘柄によっても違います。
ある時はA取引所で1,000円だったとしても、B取引所では1,500円ということもあります。また、同じ仮想通貨交換業者でも昨日は1,000円でも、今日は1,500円ということもあります。
そのため、自分が口座開設している仮想通貨交換業者のスプレッドは現在いくらか、いつ取引をすれば有利かを見極めることが大切かもしれません。
効率的な取引をするにはスプレッドは狭い方が良い
スプレッドはその時々で変化し、広いときもあれば狭いときもあります。
上の図(DMM Bitcoin/2019年1月時点のスプレッド)は先ほどと同日のDMMビットコインの価格ですが、スプレッドは以下のようになっています。
394,413円(購入する価格)-393,7134円円(売却する価格)=700円
同じ日の、ほぼ同時刻のスプレッド差ですが27円の違いがあります。仮想通貨を購入してすぐに売却した場合、700円の損失を最初から抱えることになります。
仮想通貨をスプレッドが700円の時に購入した場合、利益を得るためには700円の以上値上がりするのを待つ必要があります。しかし、スプレッドが727円のときであれば、価格が727円以上の値上がりするまで待つ必要があります。
このように、スプレッドが狭いときほど有利に仮想通貨取引をすることができる可能性があります。
十円単位の差など問題ないと思う方もいるかもしれませんが、交換業者のある時期のスプレッドでは2万円近くあった時もあるため、利用する交換業者を選ぶ際にスプレッドに注目することも必要かもしれません。
なぜスプレッドは発生するのか?
スプレッドが購入する価格と売却する価格の差額であること、スプレッドによって仮想通貨取引が有利にも不利にもなる可能性があることはご説明させていただきました。しかし、スプレッドとはなぜ発生するのでしょうか。
仮想通貨交換業者がスプレッドを設けている理由や、スプレッドの仕組みについて見ていきましょう。
スプレッドは販売所だけで発生する
仮想通貨交換業者は一括りに仮想通貨取引所と呼ばれることが多いので、まぎらわしい部分がありますが、実は、「販売所」と「取引所」という2つの機能のどちらか、もしくはその両方をもつ業者があります。
そして、スプレッドが発生するのは「販売所」だけです。販売所で表示されている「購入する価格」と「売却する価格」の「差額」がスプレッドということです。
では、販売所と取引所とはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか?
販売所と取引所の違い
販売所で仮想通貨の取引をするときは、仮想通貨交換業者を相手に取引をすることになります。購入する価格と売却する価格が表示されていますが、それらを決めるのは販売所の運営会社である仮想通貨交換業者です。
仮想通貨交換業者の販売所機能はすぐに取引ができることが特徴で、購入や売却の画面などがシンプルであることが多いため、初心者に向いていると言われることがよくあります。
しかし、スプレッドは相場によって常に変化するため、取引所よりも価格が割高になる可能性があります。一方、取引所は、たくさんの仮想通貨の取引をするユーザーが集まり、買いたい人と売りたい人どうしで取引をする、いわばマッチング会場のようなものです。
あくまで、取引相手は他の仮想通貨ユーザーであり、「板」というものを利用して取引がされることが一般的です。
取引所では個人どうしが取引したい仮想通貨の値段と数量をもとに取引がおこなわれ、交換業者がスプレッドを指定することはないため、比較的有利に取引ができる可能性があります。自分が価格を指定して取引ができるため、販売所よりも割安な価格で取引ができる見込みがあります。
希望価格を設定して注文を出す方法を「指値注文」と言い、価格を指定せずに売買する取引方法を「成行注文」と言います。
取引所でスプレッドは発生しませんが、仮想通貨交換業者によっては取引手数料がかかることがあります。また、取引所では買いたい人と売りたい人同士でトレードがおこなわれるため、必ず成立するとは限りません。
スプレッドは仮想通貨交換業者の利益になる
仮想通貨の取引所機能を利用する際には、交換業者が定めた取引手数料という手数料を支払う必要があります。
取引手数料は、ユーザー同士の仮想通貨の売買をマッチングするための手間賃のようなものであり、各社が各自定めているもので、高いところと安いところがあります。一方、ユーザー同士の仮想通貨売買のマッチングをおこなわない販売所を使うときは取引手数料を支払う必要はありません。
しかし、販売所を利用した方が少ないと手数料で取引ができるかというと、そうではなくスプレッドが発生するため、それ自体が手数料のようなものと考えられています。スプレッドは販売所を運営している仮想通貨交換業者の利益として徴収されるため、結果的には販売所にも手数料を支払っているようなものと考えられています。
スプレッドの変化には傾向がある
スプレッドは先ほどご紹介したように常に変化はしていますが、その傾向を把握しておけば効率的に取引ができる見込みがあります。
そこで次は、スプレッドの変化の傾向についてご紹介します。
仮想通貨の値動きによってスプレッドは変化する
実際にスプレッドがどのくらいの広がりになるかはわかりませんが、仮想通貨自体の値動きはスプレッドを予測するための大きなポイントと考えられます。
仮想通貨の値動きが大きいとスプレッドは広がる傾向にあり、逆に仮想通貨の値動きが落ち着いているとスプレッドは狭くなる傾向にあります。
そのため、値動きに注目することが1つのポイントと考えられます。
仮想通貨の取引量もスプレッドに影響する
仮想通貨の取引量もスプレッドの傾向を見る上ではポイントと考えられます。
一般的には取引量が多い銘柄は、スプレッドは狭くなる傾向にあります。
この傾向を逆に考えれば、取引量が少ない仮想通貨であればスプレッドは広がりやすい傾向にあるとも考えられます。
ただし、価格が急激に変化したときには、取引量が多くてもスプレッドは広がりやすいため、この点は注意が必要です。
狭いスプレッドで取引をする方法
スプレッドが狭ければ、それだけユーザーが効率的な仮想通貨取引が可能になります。そこで最後は、どうすれば効率的に仮想通貨取引をおこなえるかを紹介します。
スプレッドの狭い仮想通貨交換業者を選ぶ
いくつかの仮想通貨交換業社を見比べて、スプレッドの狭い業者を選ぶことが方法の1つと考えられます。利用する仮想通貨交換業者の手数料を比較することが、仮想通貨の口座開設には必要ですがスプレッドも視野に入れた方がよいかもしれません。仮想通貨交換業者では常にスプレッドは変わるため、常にもっとも効率に交換業者を選ぶことは困難です。
だからこそ、複数の仮想通貨交換業者に口座を開設し、取引をする際により狭いところを選んで仮想通貨取引をしてみましょう。
販売所だけではなく取引所の利用も検討する
販売所ではなく取引所であればスプレッドは発生しません。そのため、手数料を意識した仮想通貨取引をしたければ、取引所機能を利用することもよいかもしれません。取引所の設定する取引手数料はスプレッドに比べてわかりやすいため、毎回スプレッドを確認するという手間が省けます。
しかし、取引所では板取引がおこなわれるため、購入できる金額と売却できる金額が常に変動しますし、希望する値段で希望する仮想通貨枚数が必ずしも売買できるわけではないなど、販売所による取引よりも、少し操作などが難しくなる可能性があります。
販売所と取引所でどちらの方がよいということは一概にはできませんが、自らの仮想通貨取引にあった機能を利用しましょう。
値動きが落ち着いているときに取引をする
スプレッドの価格は常に変化しますが、仮想通貨自体の値動きが落ち着いているときであればスプレッドは安定する傾向にあります。
逆に、仮想通貨自体の値動きが激しければそれだけ効率的に取引をすることは難しくなるとも言えるため、値動きが激しいときの取引は避けることも選択肢の一つかもしれません。スプレッドによる負担を少なくしたいのであれば、仮想通貨市場の値動きが落ち着いているときに取引をするということも選択肢の一つです。
まとめ
初心者が仮想通貨取引をする場合は、売買の分かりやすさという点においては取引所よりも販売所が優れているかもしれません。
しかし、手数料の分かりやすさという点においては、取引所の方が優れている場合もあります。
実際に、スプレッドを理解していなければ効率の悪い取引をしてしまう可能性があります。仮想通貨の取引をする際には、仮想通貨交換業者が提供するサービスのメリットとデメリットをそれぞれ理解した上で、自らがもっとも効率よく取引ができる業者で口座開設をするべきです。
より効率的な取引をするためにはスプレッドをはじめ、さまざまなルールを理解することが大切です。
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