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実利用を目的に作られた仮想通貨、ステーブルコイン!特徴や仕組みを徹底解説!

マネーフォワードモール編集部


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価格の乱高下を繰り返すというイメージのある仮想通貨ですが、それとは対照的に価格変動をしないことを特徴とするのが「ステーブルコイン」です。このステーブルコインには世界各国の企業が注目しておりその需要も高まっていますが、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?

今回は、送金や決済に利用されることを目的として作られた「ステーブルコイン」について詳しく解説していきます。この記事では、ステーブルコインの仕組みや種類、日本におけるメリットやリップルとの比較、今後の課題、将来性までをご紹介します。

ステーブルコインとは?

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ステーブルコイン(StableCoin)とは、代表的な仮想通貨であるビットコインやイーサリアムとは異なり、法定通貨(日本円など法律が定めているお金)などの資産と価格が連動した仮想通貨の事を言います。

このステーブルコインは価格変動の激しい仮想通貨市場において、他の資産を担保とする事で比較的安定した価格の維持を目的としています。

なお、代表的なステーブルコインには「Tether(USDT)」と呼ばれるものがあります(詳しくは後述)。その価格には多少の変動はありますが、基本的に常に米ドルの価格と概ね連動しています(1USDT≒$1)。

ステーブルコインは「ペッグ通貨」とも呼ばれる

「ステーブル(Stable)」とは「安定」を意味した単語であり、ステーブルコインには「ペッグ通貨」と呼ばれるものもあります。

ペッグ(peg)とは、「釘止めし、安定させる」という意味です。

既存の外国為替市場においても、自国通貨と米ドルとの為替レートを一定割合に保ち、為替の変動リスクを避ける為の「ドルペッグ制(固定相場制)」と呼ばれる制度がありますが、それは香港ドルや人民元、そして中東産油国などで採用されています。(2019年3月時点)

このように、ステーブルコインも仮想通貨市場における「ドルペッグ通貨」としての機能を果たしており、価格変動の激しい仮想通貨とは相対的に価値が安定した通貨として位置しています。

ステーブルコインの市場規模は3,000億円にも及ぶ

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現在ステーブルコインには様々な種類のものが存在していますが、仮想通貨市場全体の取引高が減少していく中で各主要なステーブルコインの取引量は2018年の10月〜11月にかけて大きく増加しました。

そして、2018年のステーブルコインのマーケットシェアは仮想通貨市場全体の2.7%に達し、その市場規模は2019年2月現在およそ3,000億円となっています。

参考:diarBlockchain

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ステーブルコインは資金決済法上の「仮想通貨」に該当する?

2018年の10月、日本の金融庁はステーブルコインに対して「資金決済法上の仮想通貨にはあたらない」という見解を海外の仮想通貨メディア「Bitcoin.com」に明かしており、それが同サイトにて公表されました。

なお、同サイトの記事によると下記の通りです。

『一般的に、仮想通貨交換業者がステーブルコインを取り扱う場合、発行企業は【改正資金決済法】に準拠し、『前払式支払い手段発行者』か、『資金移動業者』として登録をする必要はある』

参考:Bitcoin.com

仮想通貨市場における「避難通貨」として利用できる

また、法定通貨と価値が連動したステーブルコインは仮想通貨市場における「避難通貨」として利用できる可能性があります。

基本的にステーブルコインは、ビットコインを主とする仮想通貨市場が下落した際に「価値の保存手段」として買われる傾向にあります。例えば外国為替市場においても米国経済の低迷が危惧された際、米ドルが売られて比較的安全資産であると言われる日本円が買われるといった「円高ドル安」に動く傾向があります。

これと同様に、ステーブルコインも主要な仮想通貨市場の暴落による資産の目減りを防ぐ為の「避難通貨」としての役割を果たしています。

なお、ステーブルコインを利用する事で、法定通貨に交換する事なく価値の保存をおこなえるというメリットもあります。

国際送金も迅速かつ割安で利用する事ができる

ステーブルコインは理論上クロスボーダー(国際送金)の支払いも可能であり、国際送金をする際に銀行を介在する必要が無く、銀行口座の開設も必要がありません。

よって、ステーブルコインを利用する事で銀行口座を保有していない人でも迅速かつ安価なコストで国際送金をおこなうことが可能となります。

ステーブルコインの種類とそれぞれの仕組み

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ステーブルコインは米ドルを担保とした通貨として最初に誕生しましたが、現在その種類は多様化しており、大きく以下の4種類に分類できます。

・法定通貨担保型
・コモディティ連動型
・仮想通貨担保型
・無担保型

法定通貨担保型

法定通貨担保型のステーブルコインとは、その価値が米ドルや日本円などといった「法定通貨」に担保された通貨です。

現在市場に出回るステーブルコインの中でも最も多いのがこの法定通貨担保型であり、ペッグする通貨発行国の経済や政治の情勢によって価格が変動します。

コモディティ連動型

法定通貨以外にも金などの貴金属や原油などのエネルギーといったコモディティ(商品)の価格に連動するステーブルコインも存在します。

これらは、有限で発行ができない資産に裏付けされているという特徴を持ちます。

仮想通貨担保型

仮想通貨担保型のステーブルコインとは、法定通貨ではなくビットコインやイーサリアムなどといった「仮想通貨」を担保として発行される通貨です。

仮想通貨担保型のステーブルコインには「仮想通貨を担保にして米ドルと価格を連動させるもの」や、「仮想通貨を担保にしてある一定の仮想通貨と価格を連動させるもの」などがあります。

例えば、「WrappedBitcoin(WBTC)」と呼ばれるステーブルコインは、ビットコインを価値の裏付けとしてビットコインの価格に連動したイーサリアムトークンとして機能します。

参考:WrappedBitcoin(WBTC)

このように、法定通貨のみならずビットコインと価値が連動したステーブルコインも中には存在しています。

無担保型

無担保型のステーブルコインとは、担保となる資産が無く、通貨供給量をスマートコントラクトによるアルゴリズム(人の手を介さなくてもあらかじめ決められたアルゴリズムによって契約を実行する仕組み)で調整しながら価格を安定させる通貨です。

この無担保型のステーブルコインは各国の中央銀行が通貨供給量をコントロールする法定通貨とは異なり、アルゴリズムによってそれが全てコントロールされます。

なお、無担保型のステーブルコインには様々な種類がありますが、その安全性の保証については現状定かではなく、2018年12月には「Basis」と呼ばれる無担保型ステーブルコインプロジェクトが規制面の懸念を受けて廃止されました。

ステーブルコイン銘柄の紹介

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ステーブルコインは今や世界各国で発行されるようになり、その銘柄数は2019年2月現在50種類を超えると言われています。

では、以下よりステーブルコイン銘柄の一部をピックアップしていきます。

Tether(テザー/USDT)

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ステーブルコインの中でも最も代表的なのがTether社の発行する「Tether(テザー/USDT)」です。

Tetherは米ドルによって価値が担保されている「法定通貨担保型」のステーブルコインであり、ビットコインやイーサリアムなどの価値の媒介手段として最も多く用いられています。

なお、Tetherは2019年2月22日時点でビットコインの取引シェアで全体の68%を占めており、時価総額7位にランクインしています。

また、Tetherはステーブルコイン市場全体の内のおよそ90%以上の取引シェアを誇る規模の仮想通貨として位置していますが、発行元であるTether社に十分な米ドルが準備金として保有されているかどうかが疑問視されており、一部信頼性に関する課題が浮上しています。

参考:CryptoCompareCoinMarketCap

USD Coin(USDC)

Tetherの次に時価総額が高いのが米Circle社の発行する「USD Coin(USDC)」です。

USD CoinもTetherと同様米ドルによって価値が担保されている「法定通貨担保型」のステーブルコインであり、ビットコインやイーサリアムなどの売買に多く用いられています。

このUSD Coinの強みは発行体の信頼性の高さであり、発行体であるCircle社は米大手金融機関であるゴールドマンサックスから出資を受け、2018年2月には大手仮想通貨取引所であるPoloniexを買収しました。

なお、法定通貨にペッグされたステーブルコインの信用性は発行する組織が、発行している仮想通貨と同量以上の法定通貨を持っているかどうかがポイントの一つとなってきますがUSD Coinは第三者機関である会計事務所の監査の下で発行した報告書の中で仮想通貨の発行数を上回る米ドル残高があると証明されています。(2018年12月31日時点)

参考:フィスコ・アルトコインニュース

DAI(MakerDAO)

Daiとは、米ドルと1:1で連動した価値を持つ「仮想通貨担保型」のステーブルコインです。このDaiは「Maker」と呼ばれるブロックチェーンプラットフォーム上にイーサリアム(ETH)を担保として預け入れることで発行され、これによってDaiの価値の裏付けが証明されます。

なお、DaiはイーサリアムのERC20(トークンに対する技術的な統一された仕様)を基盤としたトークンなので、イーサリアムのブロックチェーン上で機能するDapps(分散型アプリケーション)内で米ドルと連動した通貨として利用可能です。

CARBON

CARBONとは、通貨の供給量をアルゴリズムによってコントロールする「無担保型」のステーブルコインであり、第三者による介在を必要とせず米ドルと連動した価値を持つ通貨を発行します。

CARBONはアルゴリズムによってその通貨の価値を安定させる為、通貨の信用が発行体の準備金の保有量に左右されないといったメリットがあります。

なお、このCARBONはイーサリアム上で最初に誕生しましたが、イーサリアムのみならずEOSのブロックチェーン上でも相互運用されます。

ステーブルコインの課題

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次にステーブルコインの抱えている課題について解説していきます。

・発行体の信頼が極めて重要となる
・日本ではその法的位置付けがまだ曖昧
・国際送金に用いられる際の懸念点

発行体の信頼が極めて重要となる

ステーブルコインは基本的に裏付けされた資産に価格が連動する仮想通貨です。

それゆえ、法定通貨の価格と連動したステーブルコインなどは、非中央集権型のビットコインとは異なり、価格変動のリスクが少なく安心感が高いようにも思えます。しかし、ステーブルコインを発行する発行体への信頼は必要不可欠となります。

いくらステーブルコインに法定通貨の価値が担保されているとはいえ、ステーブルコインの発行体の信頼性が下がればその通貨の価格が下落してしまう事にもなりかねません。

例えば、法定通貨にペッグされたステーブルコインの発行体が、保有している資金以上のステーブルコインを発行している場合などには、法定通貨に裏付けされているという前提が崩れてしまいます。

だからこそ、ステーブルコインには「信用リスク(カウンターパーティーリスク※)」があり、発行体の信頼が極めて重要となります。

この点が政府や中央銀行などの発行母体を必要としないビットコインの思想とは異なる部分です。

※カウンターパーティリスク…取引相手の倒産リスク

日本国内では法的位置付けがまだ曖昧となっている

仮にステーブルコインが日本国内で流通するとなった場合に、それがどのような法的位置付けとなるのかも課題の一つとして挙げられます。

例えば、日本でステーブルコインを日常の決済に普及させる場合、従来の電子マネーでおこなわれていたKYC(本人確認)をおこなわずに利用することが可能であるため、テロ資金として使われるなど可能性が生まれます。

国際送金に用いられる際の懸念点

現在では、海外へお金を送る際や、受け取る際には反社会勢力への資金提供ではないことを申告する必要があります。同時にこれらは犯罪によって得られた資金(汚れたお金)を、資金の出所をわからなくするためのマネーロンダリング(資金洗浄)への利用を防ぐ役割も持っています。

しかし、ステーブルコインが今後グローバルに流通すれば、海外で発行されたステーブルコインを日本人が受け取ったり送ったりすることが容易になります。

その際に反社会勢力への資金提供を防ぐための規制を設けるのかもまだ明確には決まっていません。仮想通貨取引所においても、資金決済法上の「仮想通貨」に該当しないとされるステーブルコインをどのように扱うことが適切なのかという点にも議論の余地があると言えるでしょう。

これらの点が明確にならなければ、仮想通貨取引所での取り扱い方法も定まらないため、ステーブルコインが広く一般に流通することは難しいかもしれません。

ステーブルコインはリップルに代わって国際送金に利用されるのか

理論上、ステーブルコインは銀行口座を介する事なく国際送金への利用が可能ですが、実際に国際送金に活用されるにはまだまだ課題が残るでしょう。

国際送金におけるリップル(XRP)の優位性

そもそもなぜ通貨に価値が生まれるのかというと、その通貨を利用する人がたくさん存在しているからです。

よって、国際送金を銀行を介さずにおこなうのであればその通貨に世界共通の価値が必要となってきます。

しかし、ある一定の国の法定通貨にペッグされたステーブルコインの価値はあくまでその国だけに限られています。

だからこそ、ステーブルコインは自国では価値があるものでも、ペッグされている法定通貨の価値が下がることによって、他国では全く価値の無いものとなってしまう可能性があります。

一方、国際送金での利用を目的とした仮想通貨で代表的なのが「リップル(XRP)」ですが、リップルはどこかの国の法定通貨に価値が裏付けされているわけではない為、世界共通の価値を持つ独立した仮想通貨だと言えます。さらに、リップルの国際送金はわずか4秒で処理される上に、既に世界中の取引所で流通しているグローバルな通貨なので、「価値の媒介手段」という側面ではステーブルコインよりも優位性が高いのでは無いかと考えられます。

リップルが国際送金に適しているのは世界共通の価値を持った通貨であるため、国際送金においては比較的に適しているのではないかと考えられます。

これはリップルに限らず、ビットコインやイーサリアムのような仮想通貨でも同じ事が言えるでしょう。

世界共通の価値を持った通貨では、各金融機関毎に「為替ヘッジ(為替変動によるリスクを回避すること)」をおこなう事でその価格変動リスクを回避する事は可能であるため、今後その価格変動に左右されずに取引がおこなわれるようになる可能性もあります。

一方で、各国の法定通貨に裏付けされた既存のステーブルコインは、従来の法定通貨と同様の枠組みから抜け出す事が現在は困難であり、国際送金において既存の仮想通貨と差別化する事が難しいとも考えられています。

ステーブルコインの今後

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最後に、ステーブルコインの今後や将来性について解説していきます。

大手企業の信用に基づくステーブルコインの発行が広がる見込み

日本では「GMO Japanese YEN(GJY)」の発行計画も

日本の大手総合インターネットグループであるGMOインターネットは、2019年を目処にアジア地域にて日本円と連動したステーブルコイン「GMO Japanese YEN(GJY)」の発行を予定しているようです。GMOインターネットグループはこれまで仮想通貨交換事業やマイニング事業などを手掛けてきましたが、今後は日本円と価値が連動したGMO Japanese YENを用いて決済分野にも進出するとの方針を示しています。

現在日本では既に「LCNEM」と呼ばれる「日本円担保型」のステーブルコインも存在していますが、安全資産と呼ばれる「日本円」の信用力と、迅速な決済や送金がおこなえる「仮想通貨」の性質を組み合わせることで、今までに無い革新的な通貨の形となる可能性もあるでしょう。

参考:GMOインターネットグループ

JPモルガンも独自のステーブルコイン「JPMコイン」を開発

米大手金融機関であるJPモルガン・チェースも、2019年2月14日にブロックチェーンを基盤としたデジタル通貨「JPMコイン」の開発について発表しました。

JPMコインの利用用途は主に国際送金や証券取引などで想定されており、少数の機関投資家を対象にテスト的な開発が進んでいるとされています。

参考:JPMorgan ChaseBinance

このように、各国の大手企業の信用に基づいたステーブルコインが流通するようになれば、ステーブルコインで問題視されていた発行体の信頼性に対しての懸念は徐々に取り除かれるようになるかもしれません。

日本では銀行以外の事業者でも100万円を超える送金が可能に?

日本の金融庁は、銀行以外の事業者でも一度に100万円を超える送金を認可制で認めるといった方針を2019年2月に公表しました。

これにより、主に個人による少額決済が主流だった送金市場において、100万円以上の高額な送金にも新規事業者が参入しやすくなります。

日本ではキャッシュレス決済サービスを手掛ける事業者が増加傾向にありますが、仮に100万円を超える送金も各業者が自由に参入出来るとなれば、ステーブルコインによる新たな送金市場が生まれる事も考えられます。

それによって、今まで高額な送金手数料を支払っていた事業者などのニーズに応えられるような革新的サービスが生まれるかもしれません。

参考:100万円超す送金、銀行以外でも 認可制で参入可能に | 日本経済新聞 電子版

ステーブルコインは決済・送金の為の手段として大きく普及するかもしれない

以上、ステーブルコイン市場にはまだまだ潜在的な可能性が秘められており、国や発行体の信用を活かし、より利便性の高い価値の移動を提供できる「法定通貨の代案」として大きく普及していくかもしれません。

既にビットコインのような比較的価格変動の大きい「仮想通貨市場」と「ステーブルコイン市場」は明確に区別されており、仮想通貨市場では投資対象として、そしてステーブルコイン市場は「価値の保存」や「価値の移動手段」といった用途に分けられています。

なお、大手海外取引所であるBinanceは昨年2018年11月に新たにステーブルコイン市場を創設しており、そのステーブルコイン市場の可能性の高さから更なる取引市場の拡大を図ろうとしています。

まとめ

実際の利用に伴う利便性を追求するために、仮想通貨の特徴である非中央集権型の運営ではなく、信用ある企業や組織が価値の裏付けを持って発行するステーブルコインは、仮想通貨の中でも注目を集める分類のひとつとなっています。

将来的にステーブルコインは決済や送金、そして仮想通貨取引の実利用の場面で大きな基盤となるかもしれません。

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