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仮想通貨の実利用が一般的になれば、私たちの生活はどう変わるのか?専修大学准教授が解説!


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仮想通貨が一般の生活に普及した場合、どのような影響が私たちの生活にはあるのでしょうか。仮想通貨には、決済や送金などを「より安い手数料」で「より速く処理する」という目的で作られたものがたくさんあります。

しかし、送金や決済に関して、日常生活でそこまで不満を抱いたことがない人にとっては、仮想通貨が広く一般に普及した際の生活をイメージすることは難しいのではないでしょうか。

今回の記事では、仮想通貨が普及し実利用された際に起こり得る「生活に与える影響」を専修大学 経済学部(国際経済) 准教授 、小川健さんから教えていただきました。

仮想通貨が普及したときにどのような影響があるのか

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初めての仮想通貨であるビットコインが生まれてから、色々な特徴を持った仮想通貨が出てきました。仮に仮想通貨が世間一般に普及した場合、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。仮想通貨が一般に普及した場合、以下のような社会となる可能性があります。

「現金を使わなくなる(キャッシュレスな)社会」
「仮想通貨に利用される技術が普及した社会」

キャッシュレスになることによる社会への影響

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仮想通貨が普及する流れの中では、クレジットカードや、電子マネー、QRコード決済など、現金を使わない支払いが当たり前になる「キャッシュレス社会」となる可能性があります。

既に中国ではQRコード決済、韓国ではクレジットカード決済によってキャッシュレス社会に近づいています。

キャッシュレス社会は現金社会よりもどのような点で優れているのでしょうか。

現金をなくした場合や盗まれた際には、戻ってくる可能性は非常に低くなりますが、クレジットカードでの不正利用被害を受けた場合は、条件次第では補填の対象となる可能性があります。

これらは利用者側におけるメリットですが、社会への影響としてはどのようなものがあるのでしょうか。

店や銀行を対象にした強盗が減るかもしれない

キャッシュレス社会の社会的なメリット1つには「強盗が減る」という可能性があげられます。

イメージしやすいようにコンビニ強盗や銀行強盗などに焦点を当ててみましょう。現金社会におけるコンビニのレジには、お釣りが返せるように余裕を持たせた現金を入れており、強盗を計画する人も現金の保管場所を推測することができます。

しかし、キャッシュレス社会になれば店舗で現金を管理する必要はありません。そのため、店舗や銀行などを対象とした強盗が発生する可能性が低くなります。

キャッシュレス社会ではオンライン上での不正払出や、公式ホームページとそっくりの偽サイトを作成して個人情報やログイン情報を盗み取るフィッシング詐欺などによる詐欺被害の可能性は残ります。

しかし、強盗を計画する側が犯行の対象を特定することが難しくなりますし、仮に不正にお金が盗まれた場合も記録を辿って犯人を追跡できる可能性があります。実際に、キャッシュレス化が進んでいるスウェーデンではキャッシュレス化に伴い2008年の時点で110件あった強盗の発生件数は、2015年には7件にまで減ったそうです。

参照:現金不可!スウェーデンの驚くべき決済実情|東洋経済ONLINE

必要な仕入れ数が正確に把握できるようになるかもしれない

2つ目には「店舗などに必要な仕入れ数が正確に把握できるようになる」可能性があげられます。

皆さんにも「買いたかった商品がちょうど売り切れていた」という経験があるのではないでしょうか。

これは、消費者だけではなく店舗側をも悩ませる問題です。土用の丑の日などに消費を見込んで、大量に仕入れたウナギが思ったほど売れず、仕方なく捨ててしまうこともあります。(ニホンウナギは絶滅が心配されているにも関わらず、です。)

電子決済の普及により、消費者の購入データが履歴として残るため店舗は仕入れの予測がより正確にできるようになるのではないでしょうか。店側からすると、仕入れた商品が売れ残ることが減りますし、消費者からすると、欲しい品物が売り切れで買えなくなることが減る可能性があります。

支払い時期を自由に選択できるようになる

3つ目には「支払時期を選べる」点があります。

現金で支払いをする場合は手持ちの現金がなければ、いくら家や銀行にお金があっても支払いをすることは出来ません。つまり、現金払いしか選択肢がないと支払い時期は品物の購入時以外はなく、支払い時期を選択することは出来ません。

しかし、キャッシュレス社会では支払いの時期を選ぶことが出来ます。電子決済であれば支払いの時期を選択することができます。確実にお給料がその後で入ってくるなら、クレジットカードで先に購入することもできます。デビットカードなら、決済したその場で口座から引き落とされるので、口座残高を超えて使うこともありませんし、使い過ぎが心配であれば利用する金額に設定をかければ、それ以上使わないようにもできます。

支払うお金の種類を気にしなくて済む

4つ目には「支払うお金の種類を気にしなくて済む」点です。

日本ならば日本円ですがアメリカ合衆国ならば米ドル など、その地区によって利用できる通貨は異なります。

現金支払いの場合にはその都度、両替をする必要があり手数料も高く手間がかかります。キャッシュレス決済として例えばクレジットカードなら両替などをする手間なく支払いをすることができます。外貨を用意しなくても良いので、手間がかかりません。

デメリットとしてはクレジットカードなどの不正利用の可能性などがありますし、自己管理ができない人にはクレジットカード等は使いすぎる危険性など幾つかあげられます。一方で、きちんと明細などを確認することが大切になります。また、端末等が使えなくなる可能性を思えば、現金を全く持たないことにもリスクがあります。

ここまでは現金がほとんど使われなくなったキャッシュレス社会についての影響の可能性を取り上げました。

続いて、仮想通貨の技術が普及した場合の影響をご紹介します。

仮想通貨に利用される技術が普及することによる社会への影響

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単なるキャッシュレス社会ではなく、仮想通貨の技術が普及した場合の影響を見ていきます。

仮想通貨が普及した際に利用者として得ることができるメリットして、最も大きいものに「国境を越えても送金が速く、安くできる」可能性があります。リップル・ネットワークという銀行などを巻き込んだ仕組みや、ビットコインの送金詰まりを解決するために誕生したビットコインキャッシュなどを利用すれば、より安くより速く国内外の送金が実現できるのではないかと期待されています。

では、仮想通貨が一般的に普及すると、社会的にはどのような影響があるのでしょうか。

お金が多様化し、お得に買い物ができるかもしれない

1つには「お金の多様化により為替レートが有利に働く可能性がある」点です。

現在でもお金は国や地域によって多種多様に存在しています。仮想通貨の種類も様々あり、それぞれの仮想通貨で取り入れている技術によって特色を持ちます。仮想通貨が一般的に普及すると、日本での買い物で使えるお金は日本円だけでなく複数の仮想通貨に対応される可能性があります。

海外旅行などをした際に、日本円と外貨との為替レートによっておトクに買い物ができたという経験をもつ人もいるかもしれませんが、仮想通貨が一般的に普及し国内で通貨が多様化した場合、海外旅行などで経験するようなおトクな買い物が国内でもできる可能性が出てきます。以前、交換しておいた仮想通貨で支払えば事実上安く買えた、などという例も出てくる可能性が出てきます。

買い物上手な方であれば、スーパーで購入する食材を決めているという方もいるかもしれませんが、仮想通貨が普及しお金が多様化した場合は、どのお金で支払いをするかどうかも買い物上手の要素に入ってくるかもしれません。

契約や取引が自動化される可能性がある

2つ目は「契約や取引が自動化される」側面です。

仮想通貨を利用するプラットフォームとなるプロジェクトの中にはスマートコントラクト機能をもつものがあります。スマートコントラクトとは賢い契約(意訳では自動契約)と訳されますが、この機能はSuicaなどの交通系ICカードを利用して自動販売機で飲み物を買う際の取引に近いと言われています。

交通系ICカードで自動販売機の飲み物を買うときは、欲しい商品のボタンを押して電子マネーをかざすと、商品を得ることができます。このとき支払いは自動的におこなわれ記録が残ります。残額から代金が引き落とされ、その商品が返品されることはありません。

買う側は確実に商品をその場で手にでき、売る側はその場で確実に代金を回収できています。記録も残っているのでツケ払いのように後から支払われるか心配だ、ということもなければ、通販のように本当に商品は届くのかな、という心配もありません。

このようにあらかじめ決められてプログラムによって、取引相手の信頼度を気にすることなく取引をおこなえる仕組みがスマートコントラクトです。

参照:サーベイ論文:非技術/情報系の経済系に仮想通貨・ビットコイン・ブロックチェーンをいかに教えるか

スマートコントラクト機能をもつプラットフォーム上で仮想通貨取引をおこなうと、オンラインでプロダクションなどの組織に所属していないアーティストや写真家、画家でも著作権を保護されながら個人間で作品を売買することができるようになる可能性があります。

現在では一般ユーザー間の売買の取引は、信頼関係のあるもの同士での取引、もしくはフリマアプリなどの信頼できる第三者を介しておこなわないと、本当に商品が届くのか、代金が支払われるのかという不安があるため取引が困難です。

信頼性のある第三者の仲介を必要としない取引ですので、現状必要とされている仲介手数料などを必要としない取引が可能となります。消費者はより安い料金で商品を得ることが可能ですし、提供者はより多くの人に商品を提供できる可能性が出てきます。

距離に関係なく資金援助(応援)ができるようになる

3つ目には「距離に関係なく、資金援助(応援)ができる」可能性です。芸者さんへのおひねりや、ギターケースを開けているストリートミュージシャンへの応援など、相手がいる場合には直接現金を渡すことで応援することができます。

しかし、インターネットが普及し、生配信ができるアプリなどが増えてきた現在、対面にはいない人へ直接応援できる仕組みも必要になります。

相手がその場にいない場合には(知り合いなら現金書留や銀行送金等でお金を送れるかもしれませんが)CDを買うなどの方法や、生配信アプリでアプリから課金することで応援するというような方法になります。

しかし、仲介者がいるため応援のための資金が全て相手に届くわけではありません。仮想通貨が普及すれば直接、応援したい人へ仮想通貨を送れる上に送金コストはかなり抑えられ、仲介者への手数料なども発生しません。被災地へ応援のための寄付をしたいときには、これまでは日本赤十字社の義援金などの手段が一般的でしたが直接被災地への寄付をすることもできます。銀行口座を持っていない人にも支援ができるようになるかもしれません。

情報の拡散に報酬が発生するようになる

4つ目が「情報の拡散に報酬が生まれる」可能性です。

先ほどご紹介したスマートコントラクトが仮想通貨の普及によって広がれば、商品の情報を広めて購買されることに貢献をした人が正当に評価され報酬を受け取れる可能性が出てきます。どういうことかを具体的に説明します。

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ある商品の広告主が出した情報をAさんが拡散し、さらにその情報をBさんが拡散し、Cさんが商品を購入したとします。広告主はCさんから商品の代金を得ますが、情報を拡散したAさんBさんに報酬は発生しません。

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スマートコントラクト技術を用いたプロジェクトの中には、AさんやBさんが拡散した情報によってCさんが商品を購入した際には、自動的に拡散に貢献した二人(AさんとBさん)も報酬を得ることができるような仕組みを作るものがあります。

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このようなプロジェクトが普及すれば、発信力のない人でも広告情報などを拡散することで、商品の購入などにつながった場合に報酬が得ることができるため、今までよりも知り合いでその商品に興味がありそうな人に情報を共有する頻度が増える可能性があります。

一方で、広告主は、自社の広告情報が適切な人へリーチできる可能性が増えますし、利用者からしても興味のある情報をシェアされる可能性が高まるかもしれません。

まとめ

決済や送金という側面のみを見るのであれば仮想通貨の普及には懸念もあるかもしれませんが、仮想通貨のもつ技術や特徴が一般的に普及した場合の影響を考えるとワクワクするような未来を見ることもできます。

みなさんも通貨という側面だけでなく、様々な仮想通貨の持つ特徴にも注目して見てください。

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参考:専修大学研究者情報データベース(研究者紹介)

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